美学生インタビューInterview
3度目の正直を信じて 憧れの福娘への挑戦記
今宮戎神社の福娘に2年連続で落選したと聞きました。まずは応募のきっかけを教えてください。
1回生の時にインスタグラムで募集広告が流れてきたのがきっかけです。私は兵庫県で生まれ育ったので福娘の存在はまったく知らなかったのですが、着物を着て活動できることに魅力を感じて応募しました。親が着物好きで、昔からよく着させてもらっていたんです。
本格的な選考があることや、倍率がものすごく高いということも知らずに応募したので、あとで調べて驚きました。なんだかすごいものに応募してしまったな、って。
選考はどうでしたか?
書類選考を通過して、最終選考には進むことができたんです。そこで一人15秒の自己PRの時間がありました。私はとても緊張しいで人前に立つのが得意ではなく、アドリブも苦手なタイプだったので、内容はしっかりと考えて臨みました。
私がアピールできることって何だろう?と考えた時に、中学高校時代に取り組んでいた陸上競技が思い浮かんだんです。そこで、ステージ上でクラウチングスタートのポーズを披露することにしました。履いていたヒールを脱いでスタートダッシュの様子を再現しながら、「誰よりも速く福を届けます!」とアピールしました。

陸上をやっていた頃の写真
結構インパクトのある自己PRだと感じます。でも、落選してしまったんですね。
落選した理由は自分ではわかりません。こういったオーディションは明確な審査基準がないので難しいなと感じます。他の人の発表を見ていても、選ばれそうだと思った人が落ちたり、意外な人が選ばれたりしていました。
もしかしたら笑顔が足りなかったのかもしれないし、私の声が思ってるよりも小さかったのかもしれない。単純に他の人たちの方が良かったのかもしれません。ただ、自分なりに全力は出せたと思いましたし、1年目はそれほど落ち込むこともありませんでした。いい経験ができたなって、わりと清々しい気持ちでいました。
翌年、再度応募しようと思ったのは何故ですか?
「えびす娘」として活動した経験がきっかけです。最終選考で落選した人は福娘にはなれないのですが、えびす娘として活動することができるんです。福娘と違ってテレビ局や商店街への挨拶回りなどの活動はありませんが、十日戎では福娘と同じように参拝者の福笹に吉兆物を飾り付ける役割などを担います。衣装は福娘とは異なり、巫女さんのような白い作務衣です。
参拝者の方とコミュニケーションを取るのがとても楽しく、福を授けることに大きな喜びを感じました。「お姉さんの笑顔が一番素敵やったからこの列に並んでん!」と言ってくださる方もいて、すごく嬉しかったです。
2年目も最終選考まで進んだんですよね。今度はどんな自己PRを?
この年はパフォーマンスはおこなわず、自分の名前の由来と福娘としてやりたいことを組み合わせたスピーチ形式の自己PRを考えました。私の名前「詩織」には、「美しい詩のように感性豊かに、人との繋がりを大切にする女性になってほしい」という願いが込められています。その名前の通り、人との縁を大切にして、参拝者の方に笑顔と幸せをお届けしたいという思いを伝えることにしました。「今年こそは受かる!」と強く意気込んで、一生懸命練習して本番に臨んだんです。
しかし、またしても落選……。
前の年はそこまで悔しくなかったんですけど、この時は番号が発表された瞬間から涙がボロボロ溢れてきました。落選した人たちが集められてえびす娘の活動の説明を受けている間も、ずっと泣き続けていましたね。
実は、友達も応募していて会場でばったり会ったんですけど、その子は福娘に選ばれたんです。もちろん納得はできるんですけど、それも相まって余計に悔しくて……。駅に着いても涙が止まりませんでした。
3度目のチャレンジは考えていますか?
はい、今年も応募するつもりです!泣いて悔しがるくらい本気になれることってなかなかないと思うし、挑戦できるチャンスがあるのなら諦めたくないなって。落ちたって減るもんはないし、落ち続けることもそれはそれで経験だと思うんです。
ただ、自己PRのネタがどんどん減ってきているので悩みます(笑)同じ自己PRをしてはいけないというルールはないですし、きっと審査員の方も覚えていないと思うんですけど、落選したネタを使うのは少し抵抗があるので、また新しく考えたいです。
最初は乗り気じゃなかったのに…… 自分の殻を破れたファッションショー
福娘の他に大学生活で印象に残っていることを教えてください。
今年の3月に「thePARTY」という学生主体のファッションショーにモデルとして出演してランウェイを歩いたことです。
参加したきっかけは?
運営の幹部をしていた友達に誘われたのがきっかけです。最初はまったく興味がなくて断ったのですが、「やっぱり諦められへん」「話だけでも聞いてほしい」と言われて、話だけなら……と思って会ってみたんです。そこで2〜3時間、説得されました(笑)
そんなに長時間?!
その場でも私は「いやいやいや〜」って断り続けていたんです。でも、「絶対に後悔させへんから!」「出るって言ってくれるまで今日は帰らんから!」って言われて(笑)
結局、その勢いに押されて、気乗りはしなかったんですけど引き受けることにしました。もし、どうしても合わなかったら途中で辞めることもできるしなと思って。
どんなランウェイだったんですか?
私は3つのステージに出たんですが、中でも男女9人の選抜メンバーで出演したステージが一番印象に残っています。thePARTYの講師の方がプロデュースする特別なステージで、オーディションで選ばれた人しか出演することができません。私はもともとオーディションを受けるつもりはなくて準備もしていなかったのですが、オーディション当日に講師の方から「受けたらいいやん」「衣装はそのままでいいから」と背中を押されて、飛び入りで参加したら選ばれたんです。
このステージでは、講師の方がデザインした黒のTシャツを全員で着用し、“My Heart My Walk”というコンセプトのもと、ランウェイを歩きます。「ありのままの自分で思う通りに歩いてほしい」という思いが込められているのですが、この“ありのままの自分で歩く”というのがすごく難しかったです。
確かに、自分らしく歩いてと言われると難しいですね。
そうなんです。「こういう歩き方を真似して」と言われたらやりやすいんですけど、「自分らしい歩き方をして」と言われるとどうしたらいいのかわからなくて……。自分って何だろう?何がしたいんだろう?っていう根本的な部分を見つめ直す機会になりました。
ファッションショー本番はどうでしたか?
私たちのステージの時が、その日一番会場が盛り上がったんです!選抜メンバーの半数はこれが初のランウェイだったので、レベルが高かったとは言えないかもしれませんが、一人ひとりがやれるところまでやりきった結果かなと感じています。最初は9人の動きがバラバラで揃えるのに苦労しましたが、練習を重ねていくうちに心も一つになっていった気がします。
ステージが終わった瞬間は、もうめちゃくちゃ泣きました。まさかこんなに夢中になれるなんて思っていなかったです。
最初は乗り気じゃなかったのが嘘みたいですね!
「また次も出演したい」って思うくらい楽しかったです。
私はどちらかというと消極的な性格で、敷かれたレールの上を歩きたいタイプでしたし、何かに挑戦することもあまり好きではなかったんです。でも、このファッションショーに出演したことで、違う道があるということも、自分で道を切り拓くことができるということも教わりました。認めてくれる人たちが周りにいてくれたことで殻を破ることができ、本当に自分が変わったなと実感します。
8月にもまたファッションショーがあるんですが、それにも参加したいと思っています。次に出演するなら、体型ももっと絞りたいですし、服をより綺麗に見せられるようにポージングや歩き方、表現力も磨いていきたいです。
美学生プロフィールProfile
担当カメラマン・インタビュアーCameraman & Interviewer

井上 翔也
僕も昔から美学生図鑑の読者でした!美学生図鑑は1日1度見に来るだけで癒される、そんな場所です。美学生たちの煌めいた一瞬を皆様にお届けすることが出来るよう頑張ります!
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