美学生インタビューInterview
ピアニストの道を断ち、新たな夢へ発つ
アナウンサーを目指そうと思ったきっかけを教えてください。
最初のきっかけは幼稚園の頃です。担任の先生に何気なく「アナウンサーになったらいいよ!」と言われたんです。当時の私にとってアナウンサーは「綺麗で、頭が良くて、カッコいい女の人」というイメージがあって、その頃から漠然と憧れを抱いていました。
ただ、4歳から始めたピアノに真剣に取り組んでいくうちに、「ピアニストになりたい」という気持ちが強くなっていったんです。国際的なコンクールにも出場し、周りの友達もみんな音楽の道へ進む中、私は高校進学のタイミングで「ピアノ科」と「普通科」どちらを選ぶか、大きな選択を迫られました。そして、悩んだ末に普通科を選んだんです。
何故、普通科を選んだのでしょう?
一番の理由は、中学の間にコンクールで一度も1位を獲れなかったことです。たくさんのコンクールに出たんですけど、最高は2位……。それが「ピアニストになるんだ」という覚悟が固まりきらなかった理由です。また、勉強が好きだったというのもあります。もともと法律や政治に興味があったので、法学部を目指すなら普通科に進む方がいいなと考えました。
ピアノの先生方からは「音楽の道に進んでほしい」と言っていただいてたので本当に最後まで迷いましたが、この決断は「自分が今までやってきたことの意味」や、「これからやりたいこと」を改めて自分自身に問いかける良い機会だったと思います。
そして、高校は普通科へ。それからアナウンサーという職業を強く意識し始めたきっかけは何だったんですか?
テレビが好きでバラエティ番組や朝の情報番組をよく観ていたんですけど、大きな地震や事件が起こったときにアナウンサーの声や表情が一変する様子を見て、胸にグッと来るものがあったんですよね。
私は今まで大きな地震や災害を経験したことがなく、どこか他人事のように感じてしまいがちだったんです。そんな私にも深刻さがありありと伝わってくるのがすごいなと思うのと同時に、自分もそんな風に情報を伝えられるアナウンサーになりたいと強く憧れるようになりました。
夢に向けて今、行動していることはありますか?
大学入学直後からアナウンススクールに通い始めました。先日、自己PRを考えてみんなの前で発表するという授業があったんですけど、聞き手を惹きつける構成を考えるのも難しいですし、自分にキャッチコピーをつけるのとかもすごく悩みます。
私、見た目と中身のギャップがすごいってよく言われるんです。真面目そうとか静かそうという印象を持たれがちなんですけど、実際は結構おちゃらけていて場を明るくすることが大好きなんです(笑)自分のキャラクターを写真や動画を通してパッと伝えられるような、そういう自己表現力を就活が本格的に始まるまでに身につけたいです。
確かに写真ではクールな美人さんの印象でしたが、実際に話してみると関西人らしい明るいお人柄ですね!他に夢に向けての課題はありますか?
滋賀出身なので関西弁が染み付いてしまっていて、標準語のアクセントを身につけるのが課題です。スクールでも間違ったアクセントで話してしまって、先生にすかさず直されます。原稿を読むときはいつも「合ってますように!」とひやひやしながら読んでいますね(笑)
大学の友達に関西圏以外から来た子が多いので、「私を染めて!」とお願いして、少しずつ標準語に馴染めるように頑張っています。
将来はどんなアナウンサーになりたいですか?
私はお笑い好きからテレビにハマったので、バラエティ番組のMCを務めるのが一つの夢です!また、バラエティに限らず、その場の状況に応じて気の利いたコメントができる人に憧れます。常に周りに気を配り、安定した進行ができるアナウンサーを目指したいです。
憧れの国際コンクールはリモート開催?!撮り直しOKだからこその苦悩
ピアノを始めたきっかけを教えてください。
姉の影響です。姉がピアノを習っていて、「私もやりたい!」と言って始めました。他にも小学生の頃はクラシックバレエや生け花を習ったり、小学校の合唱団にも所属していましたね。
たくさん習い事をしていたんですね……!その中でも一番熱中したのがピアノだったと。
綺麗なドレスを着て舞台に上がって、上手に弾けたら褒めてもらえる。それがすごく楽しくて、コンクールに出ることが大好きでした。もっと上手くなりたい、自分を認めてもらえるような演奏がしたい。その一心で、中学生の頃は友達と遊ぶこともせず、平日は一日4〜5時間、土日は丸一日ピアノに打ち込んでいました。
印象に残っているコンクールはありますか?
中学2年生の時にショパン国際ピアノコンクールの全国大会で銀賞を受賞し、アジア大会に出場したことです。ただ、ちょうどコロナ禍だったので、審査はリモートでおこなわれたんです。各自で演奏動画を撮影してYouTubeにアップロードし、審査員に見てもらうという形でした。
私はピアノが弾けるホールを予約して母に撮ってもらったのですが、これが本当に大変でした。本来のコンクールなら一発勝負で、途中でミスをしてもやり直せないじゃないですか?でも、この時は動画を提出する形式だったので、何度でも撮り直すことができたんです。なので、キリがなくて精神的にすごくしんどかったです。結局、一日では撮影が終わらず、もう一日追加でホールを予約することになりました。
こだわろうと思えばどこまでも突き詰められて、終わりが見えなくなりますね。
それに、観客がいないと緊張感がまったく違うんです。拍手もないから物足りなくて……。広いホールで母と2人きりというのは寂しかったですし、演奏後の達成感もいつもより小さく感じました。
アジア大会では奨励賞を頂いたんですけど、メダルが郵送で家に届いた時はなんだか味気なくて、悲しい気持ちになりました。
せっかく国際的な舞台で演奏するチャンスを掴んだのに、消化不良になって残念でしたね。ちなみに、どんな曲を弾いたんですか?
ショパンの『スケルツォ』と『エチュード』です。私は曲の世界に入り込んで、思いっきり気持ちを込めて弾くのが好きで、その表現力が自分の強みだと思っています。

小学2年生の時に曲をイメージして書いたもの
例えば、悲しい曲なら「どんな悲しさなのか」を掘り下げるために、曲をイメージした物語を作ったり、感情を絵に描いてみて自分なりの解釈を考えます。
すごい絵ですね……!それにしても野嶋さんは、ピアノ、クラシックバレエ、生け花、合唱など、たくさんのことに同時並行で取り組むエネルギーがすごいです。途中で辞めたくなったことはないんですか?
全部大好きだし、諦めたくないし、取り組むからには勝ちたいんですよ。忙しい方が性に合っているので、辞めたくなったことは一度もないです!
大学では舞踏研究会に入って、新たに社交ダンスを始めました。初心者なので全然上手く踊れないんですが、それが逆に燃えるんです。「もっといい角度があるんじゃないか」「もっといい表情ができるんじゃないか」と研究しているうちにどんどん楽しくなって、今は社交ダンスの魅力に夢中になっています。
サークル活動も学業も、アナウンスの訓練も、もちろんプライベートも、何一つ疎かにせず全力で取り組んで、充実した大学生活を送っていきたいです。